ごあいさつ・講演録

平成20年年頭市政報告 「愛する金沢再生プランの進捗報告と今後の展望」

2008/02

昨年4月の初めての選挙ではここにお集まりのみなさまには本当にお世話になりました。みなさまのおかげで当選させていただき、横浜市会議員として金沢区民を代表して横浜市政の場で働かせていただいております。
金沢区民、横浜市民のみなさんといろいろなお話をさせていただき、いただいた陳情を元に行政と折衝したり、さまざまな現場を視察したり、そこから新たな問題点や課題を見つけたりしていく中で、ひとつひとつ経験を積ませていただき、政治家としての自覚や責任を日々深めていく毎日を過ごしています。

振り返ってみますと選挙に関しては父の元で何度も経験させてもらっておりました。一緒に戦ってくれる先輩達や同世代の仲間達としっかりした組織で戦うことが出来れば、あとは自分をしっかり出すことが出来れば必ず勝てるだろうと思っておりました。みなさんの気持ちを結集していただき、思い通りの戦いが出来、いくつかの幸運も重なって、その通りの選挙戦を戦えたと思っております。本当にありがとうございました。

さて、新年のごあいさつはここまでです。これから少し時間をいただいて市政報告をさせていただくことになります。どうかみなさん、ご自由に軽食を食べたり、お飲み物を手に取っていただきながら、私の話を聞いてください。テクノタワーホテルの宴会担当、私の姉なのですが、久しぶりに兄弟げんかをしながらこのようなしつらえを無理を言ってお願いしました。これが一番疲れました。せっかくテクノタワーホテルのシェフが少ない予算の中で知恵を絞って出血サービスしてくれた素敵なお料理の数々ですので、ご自由に手にとってご堪能いただきながら少し耳を傾けてくだされば結構です。

さて、昨年の4月に当選して最初に戸惑ったのは、議会の日数の少なさでした。一年間に議会が開かれるのは4回、年間でわずか80日程度です。わずかしかない議会の場で議員として存在感を示し、必要とされる市会議員となるには、それ以外の日々をどう過ごすかが大切です。それは誰も教えてくれませんし、議員ひとりひとりにそれぞれのスタイルがあると思います。最も身近な先輩である父からは、人の話は良く聞け、しかし人に惑わされずに自分で考え自分で判断しろ、それが自分を選んでくれた人たちへの責任だと言われました。つまり何も教えてやらない。自分で考えろということです。

私は、地方政治家として一番大切なことは区民や市民のみなさんに選挙のときにお約束させていただいたことや、自分自身の政治信条を曲げることなく誠実に努力し続けることとその経過や過程をさまざまな機会を作ってきちんと伝えていくことだとだと考えました。自分自身の政治信条とは、4月の選挙で区民のみなさんにお諮りした私の地域政策マニフェスト「愛する金沢再生プラン」にすべて込められています。

マニフェスト運動については、当選するとすぐに早稲田大学大学院のマニフェスト研究所の北川まさやす教授のもとで、全国組織であるマニフェスト推進地方議員連盟の運営スタッフに選んでいただきました。全国の約500名の地方議員連盟の中で、運営スタッフは20名、そのうち政令指定都市からの新人議員はなぜか私ひとりです。市長や県知事や政党で作る具体的な数値目標を取り入れたマニフェストと違って、ひとりの地方議員では実際にマニフェストを作成することは難しいのですが、私は昨年の3月の末に、4つの大きな政策目標を掲げ、文章にまとめて地域政策マニフェスト「愛する金沢再生プラン」としてホームページに発表しその実現を目指すと選挙で宣言しました。
それぞれの政策目標は、まさに今地方議員が取り組まなければならない大切な政策です。そして大切なことは、マニフェストサイクルといわれる政策実現に向けた政治活動を続けていくことです。みなさんはPDCAサイクルという言葉を聞いたことがあるでしょうか。プラン・ドゥ・チェック・アクション。ビジネス用語なのでしょうが、このPDCAサイクルを繰り返し、マニフェストで提言した政策を実現に向けて毎年繰り返していくことが私はマニフェスト運動の本質だと捉えています。

マニフェストサイクルにおいてプランとは、マニフェストを作成すること、プランニングすることです。ドゥとは、その実現に向けて動くことです。まさにそれが私の政治活動です。そしてチェックとは、その活動が間違ってなかったか、しっかり成果をあげているかをチェックすることです。これは駅頭などで配布した機関紙「ともづな」やホームページのブログで発表したことをみなさんにお知らせして感想をいただくこと。そして今日のこの市政報告が、まさにみなさんにこの一年間の活動を報告し、チェックしていただくことなのです。そしてアドバイスをいただいたり批判や評価をいただきながら、修正を加えてあらためて今後の政治活動に生かしていくことがアクションです。

そして、その活動の繰り返しの中から毎年毎年政策を前進させていき、次の選挙ではこれまでの成果をみなさんにお示しをするとともに、次の4年間に向けての新しいマニフェストを作成し、みなさんに問いかけることによって選挙を戦い、引き続きご支持・ご理解いただければ勝つことが出来る。そしてまたみなさんのために働くことが出来るのです。これがマニフェストサイクルです。これがあるから私は政策的にブレることなく政治活動を続けることが出来るのです。というとかっこ良いのですが、ものぐさな人間でもマニフェストがあればそれにお尻を叩かれて、とにかくやるしかないという気持ちにさせてくれるものなのです。

さて、具体的な活動の報告の前に、議会には、政策調査課というセクションがあります。議員が調べたいことについて、これまでの横浜での取組や、他都市や外国での事例、それに伴う国の政策や法律などを、議員の思いを汲み取って調査してまとめてくれるセクションです。私はドラえもんのポケットと呼んでいるのですが、始めに私はこの政策調査課に頼んで私のマニフェストについての現状を様々な角度から調べてもらいました。次にそれを元に当局の担当職員から現状の問題点や実現のハードルを聞き出しました。

そして私は始めての議会で市民活力推進・教育委員会と、基地対策特別委員会に配属されました。秋に行われた決算特別委員会では、経済観光局・都市整備局・市民活力推進局に対して自民党を代表して質問を行いました。すべての場面で、念頭にあるのはマニフェストの実現です。活動している間に次のマニフェストに取り上げるべき大きな政策課題のヒントにぶつかることもありますが、この一年間はマニフェストに掲げた4つの柱を中心に活動をしてまいりました。

まず始めにマニフェストで提案した、「小学校の空き教室を利用した行政サービスの拠点作り」は、小学校をその学区の地域に暮らしている人々がいつでも気軽に足を運べる拠点として開放していくことと、行政の証明書の発行サービスの幅広い展開の2つの側面から現在は政策を提案しています。

7月と10月に行った行政視察では、福島・新潟・岡山の小中学校での地域社会との様々な連携を学びました。PTAのみなさんが本の朗読をしてくれたり、お年寄りが子供たちと一緒に授業を受けたり、地域の昔話を聞かせてくれたりといった取り組みによって地域との交流をしていました。地域の人々が自由に小学校に出入りしてさまざまな活動をしている小学校もありました。これらの活動は横浜でもそれぞれの学校で今すぐにでも自主的に取り組めることです。

近所の人々が積極的に学校に出入りして、地域の温かい目が小学校に注がれることは素晴らしいことです。子供たちには安心感を与え、先生達には適度な緊張感をもたらし、団塊世代の先輩達やお母さん達が地域の中で親しくなるなどいろいろな効果を生み出してくれると考えています。お年寄りから子供たちにいろいろなことを教えてもらうことは、地域を愛する気持ちを育むことにもなると思いますし、お年寄りが子供たちの役に立っているという気持ちを持つことは、生きがいにもつながりますし、そのことは介護のお世話になる時期をもっと先に伸ばすことにもつながります。つまり元気で口うるさいおじいさんやおばあさんはボケないということを実践する政策なのです。

この一年間だけでも教師の破廉恥な不祥事や、校長先生の不用意な言動や文書で親御さんとの信頼関係を損なうような事件がいくつもありました。教育委員会には各学校に対しては引き締める部分と自主性に任せる部分をメリハリをつけて指導して欲しいと求めています。教育委員会は、学校の開放を進めることは児童の安全が保てないといいます。私はまったく逆だと思ってます。先生は子供たちを護るといいながら自分達のことを部外者の目から護っているのです。近所の目が光っていれば犯罪の抑止になるのです。

「行政サービスの幅広い展開」に関しては「証明書の自動交付機」に着目し、仙台や川崎の先進事例を見学しました。誰でも簡単にキャッシュカードのような手軽さで、印鑑証明や住民票が取り出せる機械が、区役所や地区センターや行政サービスコーナーにあれば、行政職員の手を煩わすことなく土日や深夜でも利用できるようになります。
すでに300近い自治体で導入されているこのサービスを一日も早く横浜で導入するべきだと訴えるとともに、後発なのだから他都市の問題点をクリアにした最高のシステムを作るように昨年秋の決算特別委員会で自民党代表として当局に提案しました。

二つ目のマニフェストの柱は、区への権限の委譲です。金沢区の個性を生かした発展のためには、区独自の予算や政策を区民のみなさんとともに話し合い、意見を吸い上げる仕組みを作ることが大切です。

高齢化社会への取組や子育て支援も市内の北部や都心部と南部とでは状況も異なりますし、対策にもそれぞれに微妙なきめ細かさが求められます。金沢八景や金沢文庫といった金沢の顔となる駅の周辺は、20万都市にふさわしい中心市街地に整備することが急務ですが、金太郎飴のようなどこの駅前かわからないような再開発をするよりもそれぞれの街の個性を生かした開発をしていくことが大切です。
世界遺産登録を視野に入れた歴史・文化資産の保存や活用、潮風と緑といった自然環境の保護も金沢ならではの課題です。
そして長い歴史を持つ二つの総合大学が存在するということも金沢区の大きな特徴です。生涯教育・文化やスポーツ施設の活用、産学共同など二つの大学と市民生活との共存にも大きな可能性があります。

このような金沢区の独自の特性をふまえて金沢区の将来像をデザインしていくことは、金沢区民でなければ出来ないのだという気持ちで議会や担当委員会や区民会議や区づくり推進会議などで訴えています。

三つ目は、議員の改革です。小泉改革の三位一体の改革が進み、もはやそれぞれの地方都市は自立した政策立案をして、都市の個性を生かした発展をしっかり進めていかないと、都市間競争に生き残れない時代になってきています。そして日本最大の基礎自治体である横浜市はそのトップランナーとして走り続ける責務があります。与えられた仕事を着実に遂行していく能力は行政の職員のみなさんは備えています。そこで問われるのが、そのトップである市長の力量と、二元代表制における市長のカウンターパート、議会の力であり、議員の力です。

地方自治体が地域の個性を生かした発展をしていくためには、地域の実情や課題に対して常に目を光らせ地域に根ざして頑張っている地方政治家こそが最大のキーパーソンだと私は思っています。しかし、まだまだ議員や議会の力はそこまで達していないと思いますし、そこまでの仕事が出来るシステムや議員の立場も確立されずに旧態然としています。マスコミや市民に批判されるから変えるのでなく、議員が自らの立場や仕事をきちんと捉えて、そのために変えなければならないことを改革していくということが求められていますし、この点において先輩議員に対して新人議員が優位に立つことができるのは、ついこのないだまで一般市民という立場であったということです。

政務調査活動費のあり方については、「新人議員」だからこそという立場で、自民党の横浜市会議員団の中で徹底的に議論しています。市民感覚とはかけ離れた議会の常識には素朴に疑問を投げかけ、おかしいと思うことは若手議員のネットワークも活用して党派の枠を超えてでもこれから長い間市議会を担うこととなる若い世代が中心に改めていかなければいけないと思っています。党内での議論や他党との折衝を経て、本年4月から政務調査活動費については、新しい運用システムがスタートします。

4つ目の柱は地域に根ざした中小企業に対する経営支援策です。議員になる前から青年会議所などで取り組んできた「地域貢献企業の認定制度」は、昨年スタートし初年度は70社を越える企業の応募がありました。今年は200社の目標達成だけでなく、この制度を入札システムに取り入れるなどインセンティブの充実を、担当の経済観光局が旗振り役となって部局を横断して取り組むよう前述の決算特別委員会で要望しました。

現在の大企業から景気回復を図っていこうという政策では市内の小さな規模の企業が景気回復を実感できる兆しさえ感じられません。景気回復の裾野を拡げるには、地方自治体が独自の企業育成策や、起業支援策を展開していかなければなりません。しかし日産自動車のみなとみらいへの本社移転や外資系企業の進出など、私たちの生活とはあまり関係のない大きなニュースばかりが先行し、横浜市が展開している様々な小さな企業向けの経済政策が本当に必要な企業にきちんと届けられているかは疑問です。

その中で、市内の小さな規模の企業でもしっかりと地域社会に貢献し、地域に根ざして頑張っているのだという実例に対して光を当てていくことが、小さな会社のみなさんが自信と誇りを持って安心して働けることにつながると信じています。

釜利谷にデコデコという小さな会社があります。女性ばかりのたった5人の会社ですが、小さな子供を持つお母さんが子供と一緒に出勤し、子供たちはお母さんの職場の片隅で他のお子さん達と遊びながら過ごします。そこにはお母さんが一番安心して働ける状況が作られているのです。人材難の時代において優秀でかつ気心の知れたスタッフを確保しておくためにこういうことを必要に迫られてやっているのだと思いますが、これは言葉にすると女性の社会進出や子育て支援、地域の人材の活用となります。
また、ご主人の転勤でヨーロッパに転勤になってしまったスタッフの能力が惜しくて、現在はインターネットのテレビ電話のシステムを使ってそれまでと変わらないクオリティで遠く離れた場所で同じ仕事を続けてもらっています。これも必要に迫られて行なっているのだと思いますが、言葉にすると立派なITの先進的な活用の取組となるのです。

先日この取組が認められてデコデコという会社は第1回「よこはまグッドバランス賞」を受賞し表彰を受けました。そしてこの会社はひとつのインセンティブとして地域貢献企業認定制度の枠組みの中で低利融資が受けられるなどの優遇策が受けられます。それだけでなく、これから深井仁美さんという経営者は、いろいろな場面でユニークな女性企業経営者として取り上げるようになり、あらたなビジネスチャンスを拡げるきっかけにもつながると思います。今日も来てくれてますのでご紹介します。

地域に貢献する企業を認めてあげようということは、こういうことです。友人のお嬢さんが家も近いからということで、経理事務を任せていたのに結婚退職してしまった。数年後に子供も少し手がかからなくなり、時間に余裕が出来たので、10時から3時までだけだけど、昔と同じ仕事で即戦力として働いてもらうことにした。これも女性の社会復帰支援やワークライフバランスの充実という今風の言葉で表現できるのです。

私はこういう地域に根ざして地道に一生懸命頑張っている会社やそこで働く人々が自信と誇りを持って仕事をして、しあわせな人生だと実感して生活が出来る世の中にすることが出来て初めて日本という国はしあわせを実感できる国といえるのだと思います。
地域に根ざして真面目に努力している会社にこそ横浜市から出される仕事を適正な価格で請けてもらって、会社の利益から法人市民税を払ってもらう、従業員さんのお給料から市民税を払ってもらう、こうやって地域内での経済循環を図ることが大切なのです。現状では横浜市は自分で自分の首を絞めることをしていのではないか、という大きな危機感を持っています。それを変革するきっかけとなる政策としてこの「地域貢献企業の認定制度」と認定企業へのインセンティブをつけることに取り組んでまいります。

さて、ずいぶん長い話になりましたが、このようにして政策の実現に向けて頑張っていく中で、地域の中でのいろいろな問題に対してのお手伝いをしたり、地域の行事や集まりにも積極的に参加させていただいて地域のみなさんとの交流の中からさまざまな課題をいただきました。

私が3年前に青年会議所の理事長をしたとき、テーマに選んだ言葉は「しあわせの選択」です。さまざまな決断や選択を迫られたときには、目先のことにとらわれずに将来的に「しあわせ」につながる選択をしていこう、そんな選択がきちんとできるように自分を磨き続けようという気持ちで考え、400名のメンバーに託した言葉です。

最近になってようやく気がついたのですが、私の政治信条はひと言で表すと、「地域に根ざして一生懸命頑張る人たちを一生懸命応援する。」ということです。厳しい時代の中で、だれもがしあわせを実感できる社会、しあわせにつながる選択が出来る人材を作っていくことは大変ですが、やりがいのある仕事だと思っています。

「日本を洗濯いたしたく候。」と言ったのは坂本竜馬でしたが、私のブログの最初のタイトルの「しあわせの洗濯」は洗濯機の洗濯という言葉を坂本竜馬を意識して使いました。何だか良くわからないと言われましたのでチョイスの意味の「選択」に戻しました。最近同じような言葉を選んで記者発表した宮崎あたりの知事さん達もいるようですが、同じような問題意識を持って取り組んでいる政治家から出てくる言葉は同じような言葉なのかもしれません。以前に話したことがあったので北川教授あたりが私の言葉をパクったのかも知れません。

今年は、区政60周年、そして来年は横浜は開港150年の年です。自民党の新人議員の中でも、金沢区選出の県市会議員の中でも最年少の議員ではございますが、元気に明るく力いっぱい頑張ってまいります。みなさまとお話させていただいたり、問題提起をしていただいたり、建設的なご批判をいただくことのひとつひとつが新人議員としての経験の蓄積につながります。これからも頑張れ、黒川の変わらぬご声援を賜り、もっともっと役に立つ政治家にみなさまの手で育ててくださいますようお願い申し上げます。長くなりましたが、市政報告とさせていただきます。ありがとうございました。

 
黒川勝事務所